NO MORE TRAGEDY

小山田亮はNYで語学留学中にニューヨーク市警のパトカーに撥ねられて、24歳の若さで命を落としました。遺族は亮の死に関する真実を明らかにするために、ニューヨーク市警とパトカーの運転手を相手に訴訟を起こしています。このブログでは亮の事故に関係する記事を投稿しています。ウェブサイトもご覧ください。http://oyamada.weebly.com/

証拠ビデオに見られる多くの疑問点

昨日、8月21日で、亮君の死からちょうど1年半が過ぎました。

 

今アメリカ中で、警察の横暴へ非難が強まる中、小山田さんの弁護士が独自入手した亮君の事故直前の様子を捉える監視カメラ映像を公開しました。

そのビデオについて書かれた記事が、NYのメディアGothamistで扱われ、大きな反響を呼んでいます。

記事の訳を紹介します。

 

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クイーンズのNYCHA(NYハウジング部門)から新たに出された監視カメラ映像からは、去年日本人留学生を死亡させた悲惨な事故に関する証言の偽り、さらにこれまでのビデオ証拠を削除することにより、事実をもみ消そうとしてきたであろうことがわかった。


NY市警は、警察車両が赤色灯を点けて走行していた事実を示しているとしていたビデオを公開することを拒否し続けているが、弁護士のスティーブ・ヴァカロ氏はFOIL法を通しNYCHAよりビデオを入手した。


事実の幾つかはすでに判明している。事故現場の近くに住んでいた24歳の日本人留学生の小山田亮さんは、2013年2月21日の午前0時40分頃にダレン・イラルディ巡査により死に至らしめられた。10番ストリート交差点付近で40番アベニューを横断していたところ、パトカーを運転していたイラルディにより、撥ねられ死亡したとされている。

NY市警の代表者は、小山田さんの父親とニューヨーク・タイムズ、そして自治会に対し、イラルディ巡査は911の通報に対応中であり、赤色灯を点け、40番アベニューを走行していたと説明した。しかし、目撃者がGothamistや他のメディアに証言した内容は、NY市警のパトカーの赤色灯は点いていなかったということであった。それは事故後、警察が赤色灯は点けられていたと証言した内容と異なるものである。


NYCHAは二台の防犯カメラからの映像を抜粋し、ヴァカロ氏に渡している。40番アベニューと10番ストリートの南東角に設置されたカメラ(カメラ1、左側の映像)と40番アベニューと12番ストリートの南西角に設置されたカメラ(カメラ2,右側の映像)の二台である。この二台とも、周囲の広範囲を見渡せるよう回転している。


Oyamada--10th and 12th Street Cameras on Vimeo

 

 

ヴァカロ氏はこの二台のカメラは、同一の全く同じ時間帯を示していないと考えている。カメラ2はカメラ1に対し、一分間のうちに少なくとも30秒の遅れがあり、この違いはおそらくかなり大きなものである。

 

カメラ2の10秒付近には、小山田さんが40番アベニューを西に向かい、12番ストリートを通り過ぎようとしているところが写る。このカメラでは、40番アベニューと11番ストリートの交差点の直前でカメラの視界が途切れ、その後1分7秒までは西へ向かう小山田さんの姿を追う形で捉えている。小山田さんは通常と変わらぬ様子で歩いているのがわかる。

 


この時点でカメラ1には、小山田さんが死亡した場所のブロックにある店舗付近に、何人かの人々がいるのが映し出されている。携帯で撮影された映像(目撃者により撮影されたもの)は、事故直後、周囲の人々が警察に対し、小山田さんを轢いたことを激しく非難する様子を示している。

警察は彼ら目撃者を現場から遠ざけようとし、さらには、この最初の目撃者となる彼らの誰一人も、警察の事情聴取を受けていないのである。(事故の目撃者が撮ったビデオはこちらです。)

 


カメラ1の1:35秒に、イラルディ巡査が運転しているとされているパトカーのヘッドライトが左上角に見られる。パトカーは1:42秒にスピードを出した状態でカメラのフレームの右側を抜けていき、その後、40番アベニューと10番ストリートの交差点へと向かう。(この次の角が小山田さんが死亡した場所である。)
何度かカメラを止めて確認すると、パトカーの赤色灯は点いていないことがわかる。これは目撃者がメディアに証言した内容と一致しており、反対にNY市警の声明内容や、警察の調査報告とは矛盾している。

カメラ1の1:45秒では、NY市警のパトカーが赤色灯を点けたのがわかる。道路標識の看板に反射した光で判断することができる。
この突然の光の反射は、イラルディ巡査が小山田さんを撥ねてから、赤色灯を点けたという目撃者証言と一致する。

 



イラルディ巡査は、40番アベニューの南の12番ストリートのどこかでの家庭内暴力の通報に対応していたと証言している。
カメラ2の1:42秒では、何人かの警察官が警察車両のバンから降り、12番ストリートを南へ歩くの模様が写る。彼らの歩調からは、緊急で差し迫った様子は全く感じられない。後に、その911通報は不明である事が断定されている。

 

無線録音や市から提供された他の証拠は、イラルディ巡査が家庭内暴力の通報に対応もしていなければ、緊急通報に対応している事を彼は誰にも伝えていなかったことを示す。実際、その通報には他の二人の警察官が配備されていた。



事故の直後、警察内部調査部により、イラルディ巡査と彼のパートナー(助手席同乗者)が事情聴取を受けた際、警察側は、イラルディ以外では唯一の事故目撃者となるイラルディのパートナー、カーマン警官の証言を変えようと動いた、と法廷書類は主張している。

 


NYCHAにより提出されたビデオの最も不審な点は、何かが削除されているという点である。

カメラ1は、その前の映像において40番アベニューを広範囲に渡りーつまり小山田さんが死亡したブロックも含めー映像を捉えていたはずであるが、その後、事故の現場が見えるはずの東へとカメラの向きが戻らない。それどころか、NY市警のパトカーがフレームから消えるところで終わっている。


改ざんされたビデオについて訊ねると、ヴァカロ氏は、「私達はNY市警は事故の何時間後かにNYCHAへ訪れたと推測している。NYCHAはおそらく「わかりました。これが私達の防犯カメラの映像です。」とビデオを渡したであろう。そして、NY市警に差し出した映像をコピーしているはずだ。そして、普通のビジネスの流れでいけば、そのビデオにはまた別の物が録画され、前にあったものは消されてしまう。我々は今それについての事実確認しているところだ」と答えた。(つまり、ここではNYCHAが弁護士に提出した映像は、一度警察の手に渡ってからNYCHAに返されたビデオであろうという憶測を話している。)


ヴァカロ氏は続ける。「NY市警の事故調査部により手がけられたビデオテープの寄せ集めをたくさん見てきた私の意見としては、NY市警が事故のシーンが映し出される直前で削除を行うというのは、普通のことではない。普通は必要以上の情報が入っているものである。」NY市警が所持しているNYCHAの防犯カメラは未だに公になっていない。

ヴァカロ氏以前の2人の弁護士は、FOIL法でNYCHAの防犯カメラを入手することはできなかった。陳述の中でバッカロー氏は「受け取ったビデオは完全に編集、改ざんされてしまったものであったし、時間の記録もおそらく正しくない。私達は、これらのビデオが公開されることで、少なくとも人々が、小山田さんを撥ねた時にパトカーが赤色灯を点けていたとNY市警が証言したことに対し、疑問を投げかけるだろう。」と話す。


また警察の調べでは、小山田さんは撥ねられた時、車道の真ん中を横断歩道を使わずに横断していたとされている。ヴァカロ氏はこれについて、NY市では合法であることを主張している。信号の変わりに停止標識がある道路も含め、面している道路の両側に信号機がない通りでは、歩行者が車道の交差点以外の部分を横断する事が許可されている。10番ストリートと11番ストリートの間の40番アベニューもその条件に該当するブロックである。

 

小山田さん家族の訴えは、NY市警が故意に証拠を破壊し、適切な事故調査を怠り、そして真実を「隠蔽」しようとしたことを主張している。

 

法廷書類によると、事故現場に集まった警官達は、目撃者を解散させ、ブレーキ痕を記録せず、事故当時イラルディ巡査が携帯電話を使っていたかについての記録も調べていない。また法廷書類は、イラルディ巡査には過去にも問題運転の経歴があるにもかかわらず、NY市警は再教育や懲戒などの対策を怠っていた事も示している。

 

 

昨年の記者会見で小山田さんの父親は「真実を知りたい」と話し、彼の息子の遺体について、「ダメージがひどかった、頭から落ちたようで、縫い目がたくさんあり、亮の頭はぬいぐるみのようだった。」と描写した。

 

NY市警は、未だ事故調査団のレポートを発表しておらず、市の代表者もまだ誰一人として小山田さんに謝罪していない。しかしながら、市議のJimmy Van Bramer氏は「この事故は悲劇である。亮の死に哀悼の意を表する。裁判中の訴訟に関してはコメントができないのだが、ご遺族は早すぎる死がどのように起きたのか、明解で透明性のある説明を聞く資格がある。」と声明を発表している。

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こちらのビデオでも、わかりやすく解説されていました。


日本人ひき逃げ NY警察隠す? - YouTube

亮君を死に至らしめただけでなく、遺族に対する誠意のない事故後の対応、嘘を重ねるNY市警の態は、決して許されるものではないと強く思います。

NYの記事にはコメントが多く寄せられ、この事故についてNYの市民の方々の怒りの声も見られます。このような事はおかしい、という認識は私達もNY市民も同様に感じていると思います。

 

―他の記事のリンクですー

http://m.colorlines.com/archives/2014/08/nypd_accused_of_coverup_in_death_of_japanese_student.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+racewireblog+

 

http://www.dnainfo.com/new-york/20140821/long-island-city/video-shows-police-car-without-its-lights-on-before-student-is-struck

 

http://www.nydailynews.com/new-york/queens/lawyer-new-video-implicates-nypd-cover-pedestrian-death-article-1.1912506