NO MORE TRAGEDY

小山田亮はNYで語学留学中にニューヨーク市警のパトカーに撥ねられて、24歳の若さで命を落としました。遺族は亮の死に関する真実を明らかにするために、ニューヨーク市警とパトカーの運転手を相手に訴訟を起こしています。このブログでは亮の事故に関係する記事を投稿しています。ウェブサイトもご覧ください。http://oyamada.weebly.com/

提訴へ

前回の投稿で、亮君の事故に関して、警察の発表と目撃者の証言、警察の遺族への説明とメディアへの説明には多くの相違点があることをお伝えしました。家族の死がそのように曖昧にされた状況に納得できる人がいるのでしょうか。当然ながら、小山田さんたちは自分たちの息子・弟の死に関する矛盾だらけの警察の説明を受け入れることはできず、遺族は、監視カメラの映像や司法解剖の結果を含む警察の内部調査の結果を公開するように求めました。ニューヨーク市のブルームバーグ市長にも捜査協力要請手紙を書きました。事故のクレーム通知[1]を出してから告訴状[2]を出すまでの一ヶ月間、ニューヨーク市およびニューヨーク市警からの返事を待ち続けました。しかし、ニューヨーク市警は、事故の4日後である2月25日に行われた家族への説明会を最後に、事故に関して何も返答を提示しませんでした。このような状況で、亮君の死に関する真実を明らかにする唯一の方法は裁判を起こすことなんです。

f:id:help_oyamada:20130301142218j:plain

亮君の父、小山田司さんと姉、鈴木智子さん (Gothamistより引用)

 

 以下はChris Fitzgerald弁護士によって提出された事故のクレーム通知の抜粋です。

 

 

「小山田亮は、致命的な複数の怪我を負い、死に至った。小山田司は、彼の息子の死亡後の被告側の態度により、修復不可能な精神的外傷、苦痛、絶望感を負い続けている。損害賠償金として8百万ドル(約8億円)を請求する。」

 

小山田さん家族は、お金での「慰め」を求め、裁判を起こすわけではありません。辛くて長い裁判を経験せずに済むなら、そのほうが良いと考えています。しかし、亮君が「死に至らなければならなかった理由」を知らないまま、その後の日常を割り切って生きていくことは難しいのです。

 

もう一つの裁判を起こす理由は、亮君の無念を晴らすためだそうです。亮君は、ニューヨークでの語学留学で、今後の自分の可能性を広げ、何かを発信できる人間になりたいと考えていました。そして、両親に親孝行していきたいと考えていました。その夢の途中で、亮君は命を奪われてしまったのです。そんな亮君のためにも、自らが納得して前に進むためにも、真実を明らかにすることが残された家族の使命だと考えているそうです。

 

警察が全ての証拠を握り、それが合法と認められるニューヨークにおいて、亮君の死に関しての真実を明らかにするためには裁判は避けられないのです。本当ならば、元気な亮君にもう一度会いたい、ただそれだけでしょう。しかし、それはどんな事をしても、叶いません。

 

遺族は、この事故に対する認知度を上げるため、8百万ドルという今までの最高額を提示し、裁判に臨みます。

 

                        (文責:AM)

 


[1]被害の内容や補償に関しての請求内容を明記した書類。被害を受けてから3カ月以内に裁判所に提出しなければいけない。

[2] 告訴内容を明記したもの。同時に召喚(Summons)という書類も提出する。召喚では、被告に対して原告側の申し立てに対する返答が要求できる。

 

Click here for the English version of this article.