NO MORE TRAGEDY

小山田亮はNYで語学留学中にニューヨーク市警のパトカーに撥ねられて、24歳の若さで命を落としました。遺族は亮の死に関する真実を明らかにするために、ニューヨーク市警とパトカーの運転手を相手に訴訟を起こしています。このブログでは亮の事故に関係する記事を投稿しています。ウェブサイトもご覧ください。http://oyamada.weebly.com/

ずさんな事故への対応

ファーガソンで警官に撃たれて亡くなったマイク・ブラウンさん、ニューヨークで警察に取り押さえられる際に警官に首を絞められてなくなったエリック・ガーナーさん。両事件では、事件に関わった警官が共に不起訴となりました。これらに対する抗議デモでアメリカ中が揺れています。

ニューヨークではエリックガーナーさんを死に追いやった警官の不起訴に対し連日大規模なデモが続いています。そしてこのデモに参加している人達の人種はひとつではありません。

 

この一連の騒動では、人種に対する偏見をはじめ、警察の横暴な権力の行使に対する不満、司法のあり方に対する疑問、銃規制の是非など、様々な問題が複雑に絡み合っているように思います。

 

12月5日、亮君が26歳になるはずの誕生日に、亮君の事故に関する新しい記事が出ました。この記事では、DMV(DMV- Department of Motor vehicleという州の公的機関、日本では陸運局が同様の業務を行っている)が本来、事故を起こしたダレン・イラルディ警官に対し行うべき公聴会が、事件から2年近く経つ現在でも未だ行われていない事実が書かれています。

 

Gothamist原文

NYC Cop Killed A Pedestrian Nearly 2 Years Ago, But The DMV Still Hasn't Held A Hearing: Gothamist

 

詳しくは以下をお読みください。

――――以下 Gothamistの記事 日本語訳――――

映像では、車両が事故当時、赤色灯を点けずに高速で走行しているもようが示されているにも関わらず、2013年2月に24歳の小山田亮さんを撥ねた警官ダレンイラルディに対し、NYPD内部調査部は、罪は無いとしている。

遺族は訴訟を起こしている中、DMVもまた、事件の事実を精査し、運転手の運転免許の維持の可能性について判定するための公聴会を開くことになっている。しかし、小山田さんが死亡してから2年近く経過するにもかかわらず、まだDMVはこの公聴会のスケジュールさえ設定していないという。

小山田さん家族の弁護士スティーブ・ヴァカロ氏は、「これらの公聴会は、無謀な運転に対し、責任を課すための強力なツールになるものである」と話す。「このプロセスの問題は、透明性が無いことであり、犠牲者の家族が望む方法で証拠を提出する機会が与えられず、また警察の捜査ファイルはこれらの公聴会では利用できず、警察の証言にしばしば欠落があることは言うまでもありません。」


公聴会には行政法判事が参加することになっており、証拠を精査し、運転免許を一時停止にするか失効させるかを決める前に、運転手や他の目撃者に話しを聞くことになっている。一時停止や失効をさせるためには、証拠の優位性だけが必要とされており、それは刑事裁判や交通公聴会の基準よりも低いものである。ヴァカロ弁護士は多くの事例では2年かかると話すが、州法はDMVに対し、事件から1年以内に公聴会を開くことを要求している

DMVの広報担当ジャッキー・マクギニス氏は、小山田さんの事故では公聴会が開かれていない理由について返答をしていない。イラルディ警官が警察官であるために公聴会が開かれていないのか、とのゴサミストの質問に対しては、「DMVの安全性に関する公聴会は、事件に関係した人が誰であれ同じです」と答えている。

「(事故の時に)車両のライトが点灯していなかったもようを記録しているビデオテープを示したいと考えており、また事故のあったこの道路が、ブロックの中程での横断が許可されている通りであることを示す証拠を提出したいと考えています。」とヴァカロ弁護士は、今後開かれる可能性のあるDMVの公聴会について言及している。

また、「ダレン・イラルディの行動における無謀さを示すかなりの証拠が既に存在すると考えており、DMVの前でその証拠を入手しようと考えています。」と話す。

 

ヴァカロ弁護士の行った市に対する連邦申立ての中では、ニューヨーク市警が意図的に証拠を破棄し、適切に事件を調査せず、「隠蔽」に結びついたとの内容が記述されている。

また、裁判所への提出書類では、イラルディ警官が危険な運転の記録を持っていた事が示されており、ニューヨーク市警が、これら危険な運転に対し、再教育や監督、懲罰を怠っていた事が指摘されている。

 

市職員の個人ファイルや法執行のテクニックに関するファイルは通常、裁判所により保護されるため、これら危険な運転の詳細に関しては公開されていない。

ヴァカロ氏は現在、情報開示法(Freedam of Infromation Law) を用い、これらを明らかにする為の申立ても起こしている。小山田さんの訴訟では現在、判事が、事故当時のイラルディ警官の携帯電話履歴を召喚中である。


一方、昨年クイーンズで3歳の女児を轢いて死に至らしめた運転手に対し、DMVの判事が2件の反則チケット(交通法違反に対し警察から切られたチケット)を速やかに却下していたことが判明し、その後、DMVは女児の事件に関する安全性公聴会を2015年1月6日に開催する事を発表した。その発表では「州内のどこであっても死亡事故が起きた場合は、DMVは特別安全公聴会を予定する」とされていた。
「DMVが独自のルールに従うか、合理的な期間内に公聴会を開催するかどうかは、DMV次第だ。」とヴァカロ氏は語る。「1年は、率直に言って、危険で無謀な運転手が路上に居るには長すぎます。2年は受け入れ難いものだ。」と語った。

 

 

参考ニュース:http://www.dailysunny.com/2014/12/08/nynews1208-4/




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法的に決まっているはずの手順が踏まれないならば、法律に何の意義があるのでしょうか。法執行に対し多くの疑問や不満の声があがり続けています。

司法の正当性・透明性に対し多くの疑問が見られます。

 

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(写真 Twitterより)

東京で行われた、ミズーリ州ファーガソンでの不起訴に対する抗議デモの様子

小山田亮君の名前を掲げて歩いてくださった方がおられました。

ファーガソンにおける抗議活動は、「黒人差別への抗議」で、自分には関係のないものと考える方もおられるかもしれません。しかし日本人の私達も、アメリカではマイノリティーです。事故にあえば、「自己責任」であるとして、真実さえも知ることが許されない現実です。人権を無視した、このような不当な扱いは「仕方が無いもの」として許容されて良いものなのでしょうか。